東京大が検討している授業料の値上げに反対する学生の間で、ある文書の存在が注目を集めている。大学側が値上げを検討する際に学生の声を十分に聞いていなかったことや、6月21日夜に大学構内に警察官が入ったことが、いずれも1969年に結ばれた「東大確認書」に違反しているというのだ。「確認書」とはどのような文書で、なぜ55年後のいま、改めて光が当たったのか。
9割が値上げ反対 学生自治会アンケート
20年ぶりの授業料値上げ案を学生らが知ったのは、5月中旬の報道によってだった。大学側は6月4日、学内の学部長や大学院研究科長、研究所長らによる「科所長会議」で、学部・修士課程の53万5800円と博士課程の52万800円を、いずれも来年度入学者から20%増の64万2960円にする案を示した。
東大教養学部の学生自治会は5月末、全学の学生や院生を対象にアンケートを実施。回答した約2300人の91%が値上げに反対したという。自治会や学生有志らは6月、学内や国会内で集会を開催、文部科学省で記者会見を開いて値上げ反対を訴えた。
学生らは「値上げ案が学生の意見を聞くことなく大学本部でつくられ、既定路線化しつつある」と批判。69年の確認書で、「大学の自治」については教授会だけでなく「学生・院生・職員も固有の権利を持つ」とする「全構成員自治」が認められていると指摘。「学生が自らに大きくかかわる決定に携わることは明白だ」と主張した。
警察導入めぐり応酬
藤井輝夫総長は6月21日、オンラインで学生と意見交換する「総長対話」を開いた。終了後、一部の学生らが同日深夜まで、東大本郷キャンパス(東京都文京区)の安田講堂前で藤井総長との面会を求める抗議デモに参加した。そこで警察官が入る騒ぎが起きた。
警視庁本富士署によると21…